家づくり体験談|住んでわかった高気密高断熱住宅のメリット・デメリット

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家づくりを始めると、必ずと言って良いほど目にする「高気密高断熱住宅」「性能の良い家」ということば。

せっかく家を建てるのならば、高性能で快適な家にしたいと誰もが思うことでしょう。

しかし検索してみると「高気密高断熱住宅 デメリット」「高気密高断熱住宅 気持ち悪い」など、負の検索ワードを目にすることも多いのではないでしょうか?

高気密高断熱住宅を取り入れるべきか、迷ってしまう方も多いかと思います。

今回は、高気密高断熱住宅を建てた筆者が、実際に10か月住んでみて感じたメリット・デメリットを紹介します。

こんな方におすすめ!
・高気密高断熱住宅にするか迷っている方
・ネット上でよく見る高気密高断熱住宅のデメリットって本当なの?と思っている方
・主婦目線のメリット・デメリットが知りたい方
・家づくり初期の方
・今後家づくりを計画しようとしている方

高気密高断熱住宅とは?

気密性」と「断熱性」の両方を高めた住宅のことです。

気密性:空間における隙間の少なさを表す言葉。気密性が高いほど、すき間から熱が逃げにくく、一定の温度を維持しやすい。

気密性を表す指標=「C値
床面積1㎡あたりの家全体のすき間面積を表しており、数値が小さいほど気密性は高くなります。

一般的な住宅のC値は5㎠/㎡、高気密住宅と言われる住宅のC値は2.0㎠/㎡以下
さらに高い基準(HAET20)では、C値=0.7㎠/㎡±0.2を目安としています。

断熱性:熱が移動するのを抑える性能のこと。断熱性が高いほど、外気温の影響を受けにくく、一定の温度を維持しやすい。

断熱性を表す指標=「UA値
建物表面(屋根、外壁、床、窓、ドアなど)をつたわり、室内の熱が外へどの程度逃げやすいかを表した数値です。数値が小さいほど断熱性は高くなります。

UA値の基準値は地域区分によって違い、寒い地域であるほど数値が低く、暖かい地域であるほど数値が高く設定されています。

しかし、断熱性は外の熱さを建物内に持ち込まないためにも必要であり、できれば暖かい地域においても寒冷地基準をベースに判断する方がよいようです。

「国土交通省ウェブサイト」 https://www.mlit.go.jp/shoene-label/insulation.html

わが家のスペック

さな
さな

わが家は、高気密高断熱住宅を得意とする地元工務店にて建築しました。

建坪:26坪(平屋)
C値:0.20、 UA値:0.43
地域区分:7地域
長期優良住宅、太陽光発電搭載ZEH住宅

我ながら、性能はなかなか優秀ではないかと思います。
私たちが契約した工務店は、標準でこのスペックの住宅を建てる会社なので、あまり迷わずこの会社に決めました。

住んでわかった高気密高断熱住宅のメリット

外気温の影響を受けにくい

3月下旬に引っ越し、春夏秋冬すべての季節を経験しましたが、どの季節も快適に過ごすことができました。
なぜなら、高気密高断熱のおかげで外気温の影響を受けにくいからです。

一番快適だと思うのは、家のどの場所でも室温が変わらないことでした。玄関に入った瞬間から快適な温度を体感できます。

もちろん、エアコンを入れて適切な温度に調整する必要はありますが、コンパクトな平屋なので、エアコン1台で家全体をまかなうことができるのです。エアコンで家の中を快適な温度にしてしまえば、それが長続きします。

先日久しぶりに冬の実家に泊まることがあったのですが、新居の快適さが本当に身に沁みました。実家は暖めている部屋を一歩出ると極寒です。もうここには住めないと、本気で思った出来事でした(笑)

あと、共感を得られるかはわかりませんが・・・
洗面所に置いているリップクリームが、寒い時期でも塗りやすいです。

リップクリームって、寒いと硬くなって塗りにくくないですか?
高気密高断熱住宅ではどの場所も室温が変わらないため、それがありません。
するりとリップが塗れる快適さも手に入れることができます。

光熱費がかからない

外気温の影響を受けにくいため、一度適温になれば、エアコンもフル回転し続けることはありません。自動運転に設定し、適温を維持するために適宜動いてくれている状況です。

また、石油ストーブ等他の暖房器具を使うこともないため、それらの燃料を購入する必要もないのです。

賃貸時代は電気・ガスを使っており、現在はオール電化。また、電気代補助の有無など、ここ数年の電気代の変化により単純に比較することはできません。

しかし、電気・ガス代を足した金額と、新居での電気代を比較すると、新居での電気代の方が断然安くなりました。

真夏や真冬になると電気の消費量はもちろん多くなりますが、それでも賃貸時代の電気量だけと比べても同じか少ないくらいです。以前はそれにガス代もプラスされていたので、この差は歴然ですね。

さらに、太陽光発電システムがあるため、日照時間が長い季節には売電の方が高くなり、電気代が相殺されることもあります。光熱費のメリットは、断然大きいものだと感じました。

ヒートショックを防ぐことができる

家のどこにいてもほぼ同じ室温のため、入浴前に服を脱ぐことは怖くなくなりました。脱衣室に暖房器具を置く必要もなく、入浴できます。

実家のように、寒い脱衣室で勇気を振り絞って服を脱いだ経験を思い返すと、現在の生活では血圧の乱高下はほぼないように感じます。

音が外に通りにくい

わが家は5歳と2歳のやんちゃ盛りがいる家庭なので、大声はしょっちゅう出しています。しかし、外に筒抜けになることはないように感じました。もちろん、まったく聞こえないわけではありませんし、外の音も全く入ってこないわけではありません。ただ、聞こえにくいとは感じています。

親戚を集めてパーティーをした時にも、外に出ていた親戚から「中の音があまり聞こえなかった」といわれました。

害虫が侵入しにくい

気密性が高くすき間がないため、害虫が室内にいることはあまりありません。
(例外で、玄関の開閉時に入ってきたと思われる蜘蛛は数匹いました)

とにかく、玄関さえ気を付けていれば、なんとか侵入を防ぎ続けることができるのではないかと思い、頑張っているところです。

補助金が出る

わが家は、2024年キャンペーンの子育てエコホーム支援事業に申請することができ、100万円の交付が決定しました。(振り込みはこれからです。)

この事業には、申請に該当するためのさまざまな要件がありますが、まず、長期優良住宅や、ZEH水準住宅に該当しなけば申請できません。(他の細かい条件はここでは割愛します。)

性能の高い快適な家を作ることで補助金の支給につながるのです。

国は性能の良い家を作ることで、エネルギーを消費しない社会を推進しているため、快適さを手に入れつつ補助金ももらえるところが、メリットだと感じました。

結露しない・湿気の多い時期も快適

賃貸時代は窓の結露に悩まされていました。

しかし、現在は樹脂サッシの複層ガラスであるため、結露はできません。ガラスやサッシを触っても冷たくないですし、窓辺が冷えることもなく感動しています。

また、湿気の多い時期でも24時間換気(第一種換気)のおかげで、サラサラしています。湿気がこもったり、床がべたついたり、服がカビたりすることは、これまでまだありません。

住んでわかった高気密高断熱住宅のデメリット

建築時のコスト

工務店で契約する前、最初に言われたことがあります。

工務店
工務店

うちは高気密高断熱住宅をしっかりとした基準で建てているため、建物の価格としては決して安い方ではありません。

建築費の高騰が始まってから建てたこともありますが、確かに広さの割に金額はかかっているなと感じます。

もちろん、高気密高断熱の基準を落として安い建材を使えば、安く建てることも可能なようです。(ローコスト住宅などはそういうことが多い。)

ただし、生活の快適さや家の持ちに直結すること、ランニングコストが爆上がりすることからも、おすすめはされませんでした。

家の持ちやランニングコストは、家づくりをされる方の意識にはあまりないようです。かくいう我々夫婦もそこまで重要視していませんでした。

高気密高断熱住宅では、

  • 光熱費が下がる
  • 家の持ちが良く、性能の低い住宅と比べて修繕費が安い
  • 補助金が出る

という金銭面のメリットが出てきます。

このメリットが、建築費分を回収、もしくはそれ以上の効果をもたらしてくれます。わが家は、長期的な目線で考えたときに、出ていく金額がどのように変わってくるのかのシミュレーションを提示してもらいました。それを見てメリットがデメリットを上回ると判断し、高気密高断熱住宅を作ることに決めました。

冬場の乾燥

結論から言うと乾燥します。しかし、1年目の現在はそれほどでもない、というのが現状です。

工務店からは、以下のように説明を受けました。

1年目:基礎のコンクリートから水分が出るため、加湿器は必要ない場合が多い。
2年目:加湿器がいるかいらないか微妙なところ。
3年目以降:確実に必要。

わが家は、長い間24時間換気の風量をマックスにしていたため、基礎のコンクリートが通常よりも乾いていたようで、1年目ですが多少乾燥を感じています。今後はもっと乾燥すると思うので、しっかり乾燥対策をしていく予定です。

室内で音が響く

室内と屋外の音の通りは少ないですが、その分室内で音が反響してしまいます。

一番困るのは、寝室で子供たちを寝かしつけるときにテレビの音が大きく聞こえること。

うちは寝室の扉がハイドアの上吊りタイプの引き戸なので隙間もあり、音と光漏れが気になります。
とにかく子どもを寝かしつけることを優先し、100円ショップで隙間を埋めるテープを買って対応してみました。

結果は、「無いよりはマシ」といったところでしょうか。
今後も改善の余地がありそうです。

ネット上で目にするデメリットについて解説

  • 空気が淀む
  • めまいや頭痛がする
  • 結露やカビの発生
  • 思っていたより、熱い・寒い
さな
さな

私は感じなかったけど、このように感じる人は一定数いるみたい。

調べてみると、原因がわかってきました。

換気システムの性能が低い

気密性があるため、空気の入れ替えは換気システムを使い、しっかり行う必要があります。

第一種換気:給気・排気の両方を機械で行うもの。
熱交換器のついたものもあり、外気温に左右されない商品もある。

第二種換気:給気は機械が、排気は自然に行うもの。
手術室や無菌室等で使われるもので、一般住宅で使われることはない。

第三種換気:給気は自然に、排気は機械が行うもの。
熱交換器をつけることができず、外気温に左右される。

換気システムの性能が低いことが原因で、空気が淀んだり、アレルゲンや湿気が屋外に放出されにくくなったりするようです。

また、熱交換器がつけられなければ外気温に左右されてしまいます。

適切な換気計画がとても重要だということがわかりました。

わが家は第一種換気で熱交換器もついているため、これらのデメリットを感じることなく過ごせています。これらのデメリットは、換気システム次第で対応できることがわかりましたね。

施工工事業者の技術力・使用する建材に左右される

気密性を高めるためには、コンセントの周囲やその他凹凸周囲などは徹底して隙間なく施工する必要があるそうです。断熱材の種類や施工技術によっても、気密・断熱に差が出てくると、担当の方から教えていただきました。

そのため、やはり高気密高断熱住宅を得意としている会社に依頼することが、一番安心だと思います。

また、全棟気密測定を行い実際の数値を出している会社であれば、数値でも確認ができるため、より安心感があります。

わが家を施工してくれた工務店も、気密測定は全棟行っており、しっかりした数値の裏付けがあるため安心することができました。

高気密高断熱住宅は家自体が自然と快適な温度になる、という誤解

勝手に適温になるという誤解から、思ったよりも熱い・寒いと感じる方もいるようです。

いくら性能が高いからと言って、家自体が熱を生み出すわけではありませんし、勝手に冷たくなるわけでもありません。

室温を快適にするためには、エアコンなどを利用する必要があります。

ただし、パッシブデザインを取り入れて日射熱利用(太陽光の熱を取り入れて暖かくすること)で、自然に蓄熱される場合もあります。

わが家も軒の長さを計算してつけてもらっており、夏は日差しを遮り、冬は太陽光が室内に入り込んで室温が上がるようになっています。
よく晴れた日であれば、部屋が暖まった後にエアコンを切り、そのまま翌朝までエアコンなしで過ごすこともできるのです。

このように、機械に頼りすぎず自然のエネルギーを取り入れることで、より快適な温度管理につながります。

家全体がぽかぽか高温になる、という誤解

実家の父が泊まりにきて「寒い…」と言っていました。

「え?こんなに適温な家なのになんで?」と疑問しかありませんでしたが、ある事実がわかったのです。

それは、実家は部屋が寒いので、こたつを併用していること。

体を直接ぽかぽかにさせるような生活に慣れている父は、空間が適温でも、いつもと比べて体をぽかぽかにできていないため、寒く感じたようなのです。

こたつでなくとも、石油ストーブでも同じことが言えると思います。

自宅内全体を温度を整えることと、局地的にとにかくガンガンに暖めることは違います。どちらが好きかは、それぞれ好みがあると思いますが、部屋全体を適温にし、こたつや電気ストーブ等で部分的に補助することで解決はできると思いました。

※ちなみに、高気密高断熱住宅では石油ストーブや石油ファンヒーターの使用は推奨されていません。(壁内結露の危険性、一酸化炭素中毒の危険性があるため)

まとめ

以上、実際に10か月住んでみて感じたメリット・デメリットを紹介してみました。

デメリットが全くないとは思いませんが、デメリットを上回るメリットを感じており、高気密高断熱住宅にして本当に良かったと感じています。

また、ネット上でよく目にするデメリットに関しては、最初から高気密高断熱住宅を得意とする業者に頼むことで問題にはならないと感じました。

さな
さな

次に家を建てるとしても、絶対に高気密高断熱住宅にします!!

※そんな予定は微塵もありません。

また、デメリットについても、何らかの対応で快適に近づけることはできそうなので、すこしでも快適を追求してやっていきたいと思います。

「高気密高断熱住宅って実際どうなの?」と思っている、家づくり中の方に、少しでも参考になりましたらうれしいです。

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